教弥実位弥下宗(きょうみじついみげしゅう)

 教弥実位弥下という六文字は中国の妙楽大師という方が摩訶止観輔行伝弘決(ぶぎょうでんぐけつ)という御書に示されたもので「教(おしえ)弥(いよいよ)実(じつ)なれば位(くらい)弥(いよいよ)下(くだ)る」と読みます。「教」とは仏様の、み教え、「位」とは教えを受ける人の能力をいいます。教えが真実であればあるだけ、最下の人を救う力があるという意味です。
 世間の人は、仏様の教えであれば、どの教えも貴く、またどんな教えでも信じれば救われると思っている人が大勢います。
 しかし仏様のみ教えも一様ではなく、浅い教え・深い教えと様々あり、その教えの浅深重々(せんじんじゅうじゅう)の次第によって教えを受ける人に与える救い・利益というものもおのずと違ってくるのです。
 ですからどんな教えでも救われると思うのは間違いのもとなのです。特に悪世末法といわれる現代に生れあわせる私たちお互いはすべて三毒強盛の荒凡夫・名字の凡夫といって、仏様の眼からご覧になれば特に宗数的能力の低い最下の衆生であり、そういう人たちを一人残らずお救い下さるだけのお力を兼ね備えた最高の御法が上行所伝本因下種の御題目なのです。
 故に佛立信者はあくまでも根は三毒強盛(貪りと瞋(いか)りと愚痴(おろか)さが強くさかんなこと)の凡夫であるという点を忘れず、信心歴が長くなったからといって思い上がらない。また仏様が私たち末法の凡夫のために最勝の法をお残し下されたという大慈大悲を感得し、日々感謝と喜びを以て御題目口唱、教化折伏のご奉公に精進させて頂くことが大切です。

 御数歌(№337)
 御題「教弥実位弥下の意をよめる」(扇全十一巻三〇〇頁)
  いよゝ猶つたなくならん人の世を 漏さずすくふ妙法の五字