本門佛立宗との出会いと心の変化

「私は何をすればいいんですか?」。そうお尋ねするとお講師さんは答えました。「『南妙法蓮華経』だけ唱えればいいです」「え、それだけでいいんですか?」「そうです」――。

難しい教理の勉強やたくさんの献金、苦行修行などについて言われるかと構えていた私は、あっさりしたお答えに戸惑いながらも、ほっとしました。あまり難しくなさそうだな。お講師さんとFさんの熱意と確信に満ちた表情から、とりあえずやってみようかと思いました。本門佛立宗と私の関係は、こうして始まりました。

私は4年ほど、新大塚で韓国レストランを営んでいました。経営上の問題にコロナ禍が重なり、店を閉めることになってしまいました。不本意な結果に、すっかり落ち込んでいました。目標を失い、この先何をすればいいのかもわからず、とりあえず韓国へ戻ってゆっくり考えようと思っていた時、Fさんから遠妙寺へお招きをいただきました。実は帰国前の挨拶をするつもりでお寺を訪ねたのですが、入信書に署名をし、お寺を後にしました。

その後韓国へ戻ると2週間の隔離生活が始まりました。部屋からほとんど出られず、独りでじっとしていなくてはなりませんでした。Fさんはネットで毎朝、朝参詣を映像を配信して下さいました。御法門には知らない単語がたくさん出てきて、戸惑うこともありました。しかし、お題目口唱の大事さを徐々に知ることができ次第に抵抗心は薄れ、南無妙法蓮華経と唱えられるようになりました。

隔離が終わるとFさんから韓国のお寺へ行くように勧められました。お寺でカン住職とお会いし、佛立宗について色々教えてもらいました。韓国にはお寺が2か所あります。私は西大門区にあるシンチョン寺に参詣するようになりましたが、電車で片道2時間近くかかります。信仰の浅い私は、お寺へ行く途中、何度も引き返したくなりました。お寺に着くと、住職さんや信者さん方が、とても親切にしてくださり、色々と配慮してくださいました。帰る時は必ずキムチやおかずをお裾分けしてくださり、一人暮らしの私にはとてもありがたいことでした。

しばらく経って、カン住職が私の居所に御本尊をおまつりするようお勧めくださいました。そして御戒壇を持ってきてくださいました。お給仕の仕方を教わり、朝晩、お線香を上げてお看経をするよう言われました。今まで何もしてこなかった私の所へ仏様が近づいてきて、私の傍に座られたのです。私は心の中でありがたいと感謝する半面、信仰に対する抵抗心も捨てきれずにいました。しかし抵抗より、おすがりしたいという気持ちの方が強く、次第に体が痛い時や心が苦しい時、仕事で人と会う前に「南無妙法蓮華経」と唱えて、良い方に導いてくださるよう、お願いすることにしました。

振り返ると、私の人生は平たんなものではありませんでした。事業失敗から離婚、日本でやり直すつもりだった店も上手くいかず、周囲の期待に添えない自分にもどかしい気持ちでいっぱいでした。あの時、なんでああしたんだろう?あの時こうすればよかったのに…と後悔ばかりし、うなだれていました。

ある日お寺にお参詣し、懸命に「南無妙法蓮華経」と唱えるいると、私の心のモヤモヤが払拭されて、とても幸せな気持ちを覚えました。いいじゃないか。生かされていることだけでも十分幸せじゃないか? 今まで「幸せ」を「不幸せ」だと決めていた自分。これからは毎日幸せな自分で生きればいい。すべてを肯定的に受け入れる気持ちになれました。

人間関係上の葛藤やお金の心配が消えて、感謝の気持ちに変わました。自分以外の人の幸せを思う気持ちが起きました。嫌いな人に対しても、いたわる気持ちが芽生えました。

これはとても大きなご利益だと思いました。

現在韓国でネット販売の仕事を始めて少しずつ成果も出始めています。

私はこれからどうなるのか? 「自分」という殻を取り除くと希望が見えてきます。毎日、1日の始めと終わりに、御戒壇に向かって感謝の気持ちで南無妙法蓮華経と唱えること。まだ信仰も浅く、まだ何もわかりませんが、仏様が何を言わんとされているのか、耳を大きくして澄ましつつ、口唱を続けていこうと思っています。

 

ありがとうございます。