不思議としか思えない妙法の妙~入信・朝参詣で赤ちゃんを授かる~ 

 
                           遠妙寺所属 瀬尾朋絵 
 
◆◆八年間の悩み◆◆
私は平成十四年五月、教化親の石岡さんに連れられ遠妙寺へ足を運びました。先祖の供養を したかったこと、また一番の願いは赤ちゃんを授かることでした。私達夫婦はどこにも悪い所 はないと言われながらも、八年間赤ちゃんに恵まれませんでした。結婚当初、共働きをしてい た時には何かにつけ『赤ちゃんまだなの?』とか『作り方知らなかったら教えてあげるよ!』 などと、質問されたり、からかわれたりしたものです。笑顔で対応してはいましたが、それを 毎日、何人もの人に言われると、やはり気持ちは落ち込むもので、私の心は深く傷ついていき ました。
 私は人付き合いが好きな方で、なおさら赤ちゃんは大好きでしたので、早く自分の赤ちゃん の顔が見たく、また年齢を重ねるごとに『このまま産めなくなってしまったらどうしよう…』 などと悩みも大きくなっていきました。どうしても、私は“ママ”になりたかったのです。
 その後、それまでの仕事も辞め、新たに幼児教室でアルバイトをすることとなり、そこで石 岡さんと出会いました。石岡さんの下で働くことが多く、何かにつけ悩みを相談させていただ いておりました折、朝参詣をするように声をかけていただいたのです。 知らないお寺に抵抗がなかったわけではありません。しかし、一歩足を踏み入れてみると、 その不安はすぐに消えました。 それは御導師をはじめ、お講師、そしてご信者の皆さんの笑顔が眩しく、心の底からの 笑顔を見せてくださっていたこと、また初めてお会いする方でも、とても親身になってお話を 聞いてくださり、アドバイスして下さいました。 それが大変ありがたく、毎日本当に感動して、感謝の気持ちで溢れんばかりでした。そして、 ここから私は毎日不思議な体験を次々と味わうことになります。
 私のアルバイト先は現場が変わるため、本来でしたらお寺とは逆の方面に配属されておりま したが、急に近くに変わり、また現場の主任からは朝の出勤時間を一時間遅くしてくれとのこ とでしたので、私は決心した十日間の朝参詣を無事に成就することができました。その十日間 は“まるで何かがお寺に参詣するように後押ししてくれている”かのようでした。

◆◆朝参詣の十日間◆◆
朝参詣の第一日目。お看経が始まると、私の意志とは全く関係なく、目から大粒の涙がポロ ポロと溢れ、自分では止めることができませんでした。二日目も同じことが続きました。そし てその晩、不思議な夢を見たのです。
あまりにもキラキラまぶしくて姿・形は見ることはできませんでしたが、私の身体から男の 人が二人、光り輝いて天に昇って行きました。そして、その日以来、私の重かった肩は軽くな り、涙を流すこともなくなりました。その頃から、朝起きの苦手な私が、早くお寺にお詣りし たくてウキウキと楽しくて仕方がない状態になり、自然に早起きができるようになりました。 そして、お看経の後に皆さんといただく朝食が何よりも嬉しくなっていたのです。
 それから数日が過ぎ、入信を決意するのを迷っていた時のことでした。毎晩の入浴中に、換 気扇の音に合わせてお題目が聞こえてくるのです。『長湯をしてのぼせたのかな?でも、聞こ えるのだから、とりあえず一緒に唱えておこう!』と思い、お風呂場でお看経したこともあ りました。でもその音は、信徒加入願を提出した六月一日を境に、ぷっつり聞こえなくなって しまいました。
 その後も、夕方、時間が可能な限りお寺に参詣して、御宝前に向かってお題目を唱え、お講 師や石岡さんの教化親・木田ご夫妻からは色々な話を聞かせていただきました。 ご多忙の中、本当に親身になり、とても親切にしていただくことに、 『こんなに他人のためにできるなんて…』と心を打たれては、私の魂にも響いてくる 感じでした。私自身も人生の勉強をさせていただく毎日でした。
 
◆◆念願の“パパ・ママ”に◆◆
 そんなある日のこと、念願の妊娠が発覚しました。その時は、信じられない思いとともに、 嬉しくて嬉しくて涙が止まりませんでした。思い起こせば、ちょうど朝参詣で必死にご祈願し ていた頃に身ごもったことになります。それが八年目に授かりました春香【はるか】です。 おかげさまで今は六ケ月になりましたが、胎内にいる間からお題目を聞いていたせいか、育児 に手のかからない健康な子として成長しております。また、妊婦中にも度々お講に出かけてお りましたので、木田ご夫妻や戸川塚さんの声などは聞き覚えがあるのか、人見知りが始まる時期 にもかかわらず、ニコニコと平気でだっこしていただいています。
 私はこうして念願の“ママ”になることができましたが、振り返ってみると、私が “ママ”になった喜びよりも、主人を“パパ”にしてあげられた喜びの方が大きく、御導師をはじめ、 お講師方、木田ご夫妻、石岡さんには大変感謝しております。そして、自分のことのように喜 び、涙して下さったご信者の皆様にも心より御礼申し上げます。

◆◆幸せになっていただきたくて◆◆
 ところでこの度、私も数多くの方に幸せになっていただきたいという思いで、厚木さんをお 寺にお誘いしました。お互い既に辞めてしまっていますが、厚木さんとは同じアルバイト先で 石岡さんの下に一緒に働いていた職場の同僚という間柄です。本来ならお互いにその後の行方 は分からないというのが普通なのですが、厚木さんが急にご主人を亡くされたことが偶然にも 私の耳に入りました。厚木さんには、また素敵な笑顔を取り戻し元気になっていただきたいと の思いで、私は祈願口唱に励ませていただいております。
 つい先日、厚木さんをお誘いし、ご主人の百日忌にご供養をさせていただいたその晩、また 不思議な夢を見ました。私には、十九才の時に亡くなった大好きな祖父がおりました。以前は、 夢枕に立って、硬かった身体も柔らかくなり成仏できたことをとても喜んでいる祖父の夢を見 ていました。これまでは青い顔で横たわっていたはずなのに、今回は頬に赤みが差し、パッと 目を見開いてくれ、そのまま春香を抱きしめてくれました。私は『これが八年目に授かった春 香です』と紹介することができました。すると、今度は立ち上がり、自ら冷蔵庫を開けてお供水 をいただき始めました。しかも、こちらを向き、ニッコリと笑っておりました。祖父の大好物は バナナでしたので『早く買いに行かなければ…』と周りの者が慌てて大騒ぎするところで終わり ました…。この夢が何を意味するかはよく分かりませんが、厚木さんの幸せを願ったことへの ご褒美だったのかもしれません。
 今まで主人は仏様に手を合わせることは無縁でしたので、最初は反対されておりました。で すから、ご戒壇を構えることはできず懐中御本尊に向かい、主人の留守中にお線香の匂いが消 えるように換気をし、隠れてお看経をしておりました。平成十五年九月頃、主人も人間関係の トラブルをきっかけに、出勤前に朝参詣をすると自分から言ってくれました。こうして家族三 人で朝参詣をすることができました。結局、反対していた主人の方が私よりも数多く足を運 び、ご祈願し続けました。そして、御宝前からのお計らいをいただき無事に問題解決しまし た。このことをきっかけに、ご本尊奉安することができました。それは、入信から一年経った 出来事でした。主人はまだ全てに賛成という訳ではありませんので、そのことが逆に私のご信 心の決定を促してくれているのだと思います。
 そして、おかげさまで平成十五年十二月七日に姉をお教化することができました。姉は茨城 に住んでおり、朝四時に起きて朝参詣を十日間頑張って続けました。遠い上、仕事・育児もあ り、とても大変だったと思います。しかしそのお陰で両親に心から感謝できるようになった り、仕事やプライベートでも精神的な面で素晴らしいお計らいをいただいて喜んでおります。 まだ大きなご祈願がありますので必ず成就するように頑張ると、今もお看経に励んでいるそう で、私も頭が下がります。大好きな姉と一緒にお参詣できる喜び、また、このご信心を理解し てくれ、共に語り合える嬉しさは格別なものがあります。姉が甥っ子の祥君と友達の堀川さん を連れて初参詣した時には、主人も「応援だ!」と言って足を運んでくれました。六人でお看経 できた時の喜びは、今でも忘れません。
 まだまだ未熟者でありますし、自分の為だけでしたら怠けてしまったかもしれません。 でも、厚木さんや姉、他の方の幸せを願う為でしたら頑張れます。 ですから、お教化を通じてこのご信心の尊さも知ったような気がします。ここか らがスタートだと再認識し、いつかは両親も一緒にお参詣できたらと思っております。幸い、 私には素晴らしい木田さんご夫妻・そして教化親の石岡さんが近くにいらっしゃるので、良い お手本とさせていただきたいと思っております。そして”赤ちゃんが欲しい”と自分のこと から始まりましたが、これからは一人でも多くの方に幸せになっていただきたく、厚木さんや 姉と共に励まし助け合いながら、尚一層、ご信心に励ませていただこうと思っております。