お助行のご利益をいただいて

 
                         遠妙寺所属 菊川セツ子

 

 当時中学二年にある息子が、六月二十五日の一時間目の体育の授業で跳び箱より転落し、左前腕(手首より肘にかけての骨)を二本折ってしまい、即日入院という大怪我を負ってしまいました。
 入院、手術と主治医の先生から言われた時は、頭の中が真っ白になり、今、自分は何をしたらいいのか、どうすればいいのか、身の振り方さえ思いつかない程でした。
 そして入院一週間目、七月三日、九時より執刀、二時間の手術でした。七月三日の手術を決まった日より、息子にはお寺からのお供水を沢山いただくように、そして御題目を唱えるようにと言いました。
私も家でのお看経がいつもより気持ちが籠り、御法様に縋り「この子を助けて下さい」と、一心にお願いしました。
 手術当日、御導師、御講師始め、ご信者さんが我が子のためのお看経を、手術中ずっと上げて下さいました。その事を父より聞き、ありがたくて胸が詰まる思いが致しました。
 皆さんのお陰で、無事手術が終わり、翌朝には本人より電話があり、私も驚いてしまいました。「大丈夫なの?傷はどう?」と聞くと、「全然痛くないよ。点滴の管も取れたし、普通に歩けるよ」と元気な声を聞くことができました。
 「ああ、よかった」昨日の姿からは想像もつかない回復ぶりに又驚き、誰もが口々に、今晩が痛いと言っていたことが、痛み知らずの手術。御題目のすごさ、ご信心をさせていただいてよかったと、改めて痛感致しました。無になってお縋りすれば、心が通じ、叶えていただけることも、我が子の姿を見て教えられたような気がします。その後の回復も主治医の先生が驚くほどで、「若いから早いのかなぁ」と、一言。現在では、ジョギング程度ならいいですよと許可をいただき、月二度の通院でみるみる骨がしっかりとしてきている状態で、普段と変わらない生活を送ることができるまで回復しました。
 入院もたった一ヶ月、リハビリも当初、術後三週間したらと言われていたのもリハビリなし。これは単に若さだけでなく、御題目によって回復させていただいたに違いないと息子に言いました。
 御題目がどれだけ尊いか、又、どれほどまでありがたいことか、身をもって教えられました。ご信心の強さということも又、私達の心の支えになっていることを知ることができました。
 これからも尚一層、ご信心に精進したいと思います。