名字即宗(みょうじそくしゅう)

 名字即とは、「初めて仏様の教えを聞いて信心を起こし御題目口唱に励む位(くらい)の人」と申しまして、末法私たちお互いは名字即位の凡夫・名字の凡夫といいます。
 仏道修行の位を六段階に分けて、六即と称して理即(りそく)・名字即(みょうじそく)・観行即(かんぎょうそく)・相以即(そうじそく)・分真即(ふんじんそく)・究竟即(くきょうそく)といいます。名字即はその中の一つで、仏様のお名前(名字)すなわち南無妙法蓮華経の御題目を聞き、知り、そのご利益を見聞きして絶大な経力を信じる位です。
 信ずるといっても、御題目を唱え持ち奉る行が出来ているかどうかが肝心要で、心で信じていてもこの口唱行ができていなければ信じているということにはなりません。
 そして名字即宗とは、本門佛立宗の信者の信心前(信仰態度)を仰せられているのです。即ち、口唱をすればすぐにでもご利益を頂けますがご利益を頂くと気のゆるみが生じてきますから、まだまだという気持ちを持ち続ける事が大切です(慢心を起こさない)。また、どれだけご信心・ご奉公が古くなっても、ご利益を頂くのは初心も後心も同じですから、臨終の夕べまで理屈抜きの素直正直なご信心が大切です(くじけない)。
 そうして、名字即のご信心とは、初めから終わりまで一生を通じて、仏様の御名前・妙法五字の御本尊を頂き、み教えを頂いて素直正直な心で、口唱折伏のご奉公をさせていただくことをいうのであります。つまり、無智・信心・口唱の心が名字即位の凡夫の仏道修行の根本なのです。
 疑わず理屈をいわずに御法門で教えられた通りに行に表していくことが私たち本門佛立宗の修行の仕方です。その線を外さない事が大切であります。

 御妙判
  「信は慧の因、名字即の位」

 御指南
  「我等の位を名字即といふ、口唱の位也」

 御教歌(№三九六)
 御題,四五抄云、信は龍口
  うたがはで信ずるのみよ名字即 ものしりがほになるのではなし