マニラ別院移転のご利益談

 

 

 昨年2月の渡航以来、現地に伺うことができないまま、すでに1年以上が経過しました。

 フィリピンにおけるコロナ禍はこれまでで最悪で、各地における規制措置はより厳しいものとなっており、現地でのご奉公再開の目処は全く立っておりません。

 昨年10月より月2回のペースで、オンラインでの御講を奉修させていただいておりますが、ネット環境の問題など障壁も多く、限られたご信者にしか届けられていないことと、やはり直接顔を合わせて、言葉を交わしながらのご奉公ができないのが、とても歯痒いです。

 フィリピン教区のご信者とその家族が、御宝前のご守護のもと、日々の御題目口唱に励み、みな健康で、そして、無事であるよう、ベストを尽くしたいと思っております。

 

 さて、このような難しい中ではありますが、この度、かねてより懸案となっていた「メトロマニラ別院」の移転が無事に完了いたしました。

 昨年の2月24日、フィリピンでの台風ウルスラ被災支援ご奉公最終日、マニラの仮別院にお参詣させていただいた際、ロメル=アルカニオさん、ジェンマ=マルケスさん夫妻から、御宝前から頂いた驚くような御利益のお話を聞かせていただきました。それは、「家と土地を頂いた」というものです。

 

 ここで少し遡ってみます。

 ロメル=アルカニオさんは、●年前に当時担当をされていた彰勲師のもとお教化となった、フィリピンにおける最初のご信者です。

 当時ロメルさんは臓、肺、肝臓、腎臓など4つの臓器に重い病を抱えていました。それが、教えてもらったばかりの上行所伝の御題目を一生懸命にお唱えしお供水をたくさん頂くと、さしもの病気がことごとく快方に向かったのです。(その後に入信)

 この御利益以来、ロメルさんの御宝前への思いは確かなものとなりました。そして、旧別院での御講や口唱会、お助行にお参りし、また、妻のジェンマさんをはじめ、親戚や友人をお教化されました。

 日本からの団参を迎える際には、御導師、御講師へのお給仕、団参者への気配りなど心を込めてご奉公される姿がとても印象的で、そのご信心への志と持ち前の優しさから、近所の子ども(事情により親と離れて暮らす)の生活の面倒を見たりもしています。

 

 フィリピンでは貧富の差が激しく、富裕層と貧困層とでは、住む場所も買いものの場所も、使うレストランも違います。国民の大半が貧困層に該当するこの国で、ロメルさん、ジェンマさんの生活も例外ではなく、とても貧しいものでした。

 しかし、夫婦でご信心に励むうちにお計らいを頂き、ご縁に恵まれロメルさんは「外資系会社の社長付運転手」に採用されました。自国の企業と比べて外資系企業は福利厚生が格段に上で垂涎の的ですから、この採用はまさに大御利益でした。

 また、ジェンマさんも最初は店員として働いていましたが、約6年前に念願だった小さなお店を構えることができ、その分、自由時間も収入も増え、さらに一生懸命、ご奉公に、御有志にと励むようになりました。

 このように、夫婦ともに仕事面、生活面で大きなお計らいを頂いたわけですが、それでも、住まいはこれまでと変わらず、生活排水も下水も何もかも垂れ流しの、悪臭漂う川の流れるスラムの中の、コンクリートブロックに僅かな鉄筋を混ぜて作ったような狭小な住居でした。

 ある日、タクシーでロメルさんを迎えに行った時のことです。香りの良いコロンをいつもより少し強めにつけておられました。こちらは全く気にもならなかったのですが、おそらく自身の服に染み付いた下水の匂いを心配されていたのだと思います。そんな気遣いをもったいなく思いつつ、フィリピンという国の厳しい現状を目の当たりにさせられました。

 自分の住所などなく、努力して大学を出たとしてもまともな会社に就職できるのは稀で、アルバイトや無職になる場合もある、という這い上がることもままならない強烈な貧困が国全体に横たわっています。

 

 そんな国で暮らすロメルさんとジェンマさんが、逸る気持ちを抑えながら「家と土地を頂いた」と仰るのです。

 そのわけを聞いてみますと、

ロメルさんの会社の社長から、マニラのCavite地区(空港の南側の半島・新空港建設構想のある地域)に自宅を購入してもらった、というのです。

 新築RC造の建物で、間取りもこれまでの1Kの仮別院より格段に広く立派です。住所すらないスラムに住む人にとって、「自宅を構える」ということは、夢のまた夢です。

 叶うはずのない夢が叶った、という信じられないような大きな御利益を頂いて、涙を流してお話をされるジェンマさんの姿がとても印象的で、聞いているこちらも鳥肌が立つほどでした。

 お二人はこれまで長きにわたりご奉公に励まれました。特に、身近な存在であり信頼を寄せていた黒柳夫妻の急な撤退後は、迷うことや辛いことがあったに違いありません。それでも御導師、お教務方とともに耐えてご信心をお持ちし、仮別院の選定や御宝前のご遷座、別院の管理など、御宝前を第一に守ってこられました。それ故のお計らいと思われます。

 また、社長もロメルさんのことを大変気に入っておられ、ご信心に励み、私生活でも周りの人のことに気を配っているロメルさんだからこその処遇とも言えます。

 そして、驚いたのは、お二人から「新居は別院よりも広いから、御導師のお許しが頂ければ別院の御宝前を新居にお迎えしたい」と申し出があったのです。

 「御宝前は私たちがお護りいたします。別院の家賃や光熱費などの費用も削減できます。新居に移ったら自宅にたくさんの人を招いて御講を頂きたいです」とのことで、自分たちの生活環境が立派になって浮かれていてもおかしくないところを、御宝前を第一に考えておられる信心前がとてもありがたく、その純粋な信心に教えられるものがたくさんありました。

 そして、お話を伺ってから1年が経過した本年2月28日、御宝前を仮別院から新居へ無事にご遷座がすることができました。

 ただ、今回は私たちは何もお手伝いができません。そこで、ご遷座の手順とお給仕のさせていただき方についての、「タガログ語字幕付き!インストラクション動画」を作成し、事前にそちらを見て予習してもらい、当日も動画を見ながらご奉公を進めてもらいました・・・

 

 この度の御宝前のご遷座をもって、当面、ロメル=アルカニオ宅が遠妙寺メトロマニラ別院となります。これまで仮別院があった旧ロメル宅近郊のマンダルヨン地区からはかなり離れた場所になりますから、今後のご奉公の組み立て方を工夫する必要があります。

 1日も早くコロナ禍が終わり、現地でのご奉公を再開できるようご祈願させていただくとともに、なんとかして、現地信徒の信心を支えていきたいと思います。新しいマニラ別院を中心にご弘通発展を目指して参ります。 

 

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