口唱宗(くしょうしゅう)

 口唱宗とは読んで字の如くで、口に上行所伝の御題目をお唱えして、口唱の中から心にも身にも功徳を頂く宗旨ということです。
人間の口は産声(うぶごえ)をあげた時から死に至るまで、色々な意味で働き続けます。身体は怪我をしたり病気になれば思うように動けません。
 しかし、老化しても口は達者であり、諺に「言うは易く行い難し」の通り、言うこととすることとを比べてみても、口に出すことはし易いものです。ですから、易行宗で述べましたとおり、老若男女を問わず、誰でもがさせていただける易しい修行なのです。
 また、御祖師様は「今末法に入りぬれば、余経も法華経も詮なし、但南無妙法蓮華経なるべし」とお示しで、末法の現代は法華経以外の諸経はもとより、法華経ですら読誦(お経文を見て読んだり暗誦すること)の修行をしても功徳の頂けるときでないとお示しで、御題目口唱でしか末法の私たちは功徳を積むことも、ご利益を頂くこともできないのです。
 ところで御題目口唱で大切なことにハッキリ堂々と声に出して唱えるということがあります。それはなぜかと申しますと、その御題目が人の耳に触れることにより、そこで御法との縁を結ぶことになるからです。これを「法体(ほったい)の折伏」と申しまして、口唱が化他行となるのです。御祖師様日蓮聖人の御本意は、末法の一切衆生の口に上行所伝の御題目をお唱えさせようということであったわけですから、私たちはそのみ意(こころ)に少しでもそえるよう、朗々と声に出しての口唱、そして我も唱え、人にも勧める教化折伏のご奉公に精進させていただくことが大切です。

 御教歌,(№八七九)
  口唱程不思議に妙な行はなし 其身はまめに心かしこに