偶然?必然?資格試験で不思議な体験~財の功徳で合格するまで~


                          遠妙寺所属 高山雄二

 

現在、私は大手電機グループ会社に勤めております。
何の学歴もない私が、大手メーカーのグループ企業に就職できたことも御宝前のお計らいだと、心より感謝しております。事業内容としては、作業員がお客様のもとに赴むき実際にパソコン等の設定を行う「オンサイト事業」と、パソコンメーカーやIT企業などからの依頼でテクニカルサポートを行う「コールセンター事業」の2つ事業を両軸に、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら総合的なサポートサービスを提供しています。

この会社への就職のきっかけは、彰孝師の奥様から紹介していただいた人材派遣会社への登録でした。はじめは派遣社員としてスタートし、アルバイト、契約社員、正社員とトントン拍子に事が進みました。現在では、プロジェクト・マネージャーというポジションで、いくつかのコールセンターの運用を任されております。役職上、コンピュータの技術的な知識だけではなく、コールセンターの運用を行うための専門的な知識も要求されますので、業務の合間での講習会の受講や、資格取得のために必要な勉強も欠かせません。

今回、会社から取得を命ぜられたのは、HDIヘルプデスク・シニアアナリストという資格で、この資格は世界で初めて公開された標準書に基づく国際的に認定されたヘルプデスクのプロフェッショナル資格です。この八月に日本語化されたこともあり、最初に受験した時点ではまだ一人の合格者もいない状態でした。『何とかして日本で最初の認定者になってやる!』と息巻いて第一回目の試験を受験したのですが、予想以上に難易度が高く、結果は散々たるものでした。『しっかり御祈願したつもりなのに、どうして合格できなかったのか?まだまだおまいりが足りないのかな』と反省し、合格するまで自宅での祈願口唱と開門参詣をお誓いし、勉強する時間よりもお看経させていただく時間を優先して一遍でも多くお題目がお唱えできるようがんばりました。

そして約三週間にわたりご祈願させていただき、第二回目の試験に臨みました。ちなみにこの試験は、一般的な国家資格とは異なり、受験者の好きなときに申込みを行い受験することが可能なのです。第二回目の結果は…。見事に不合格。御宝前もついてらっしゃるし、準備も十分にできていたつもりでしたので相当にショックでした。

落ちたこともさることながら、受験料負担の面でもショックでした。合格すれば会社が負担してくれるのですが、落ちた場合は自己負担です。一回の受験料が二万六千円。消費税を入れると二回分で五万四千六百円になる大赤字でした。『あれだけご祈願させていただいて勉強も十分できたつもりだし、どうして落ちてしまったのだろう… 何かがご本意に叶ってなかったのかなぁ、謗法はなかっただろうか、ご信者の悪口を言ってなかっただろうか、お講師に対するお敬いに欠けてなかっただろうか』など、いろいろなことを思い返してみてお懺悔させていただくことにしましたが、具体的な答えが見つかりません。『あぁじゃない、こうじゃない』と考えあぐねているうちに、とうとう第三回目の試験前日になってしまいました。試験の準備も十分できず、『また落ちてしまうのかなぁ』とやるせない思いを抱きながら本堂でお看経させていただいていると、ちょうど彰国師がご奉公から戻ってこられました。『そうだ、こういう時はお講師に相談するのが一番いい!』。さっそく、彰国師に事のいきさつをお話しして、何をお懺悔させていただいたら良いのか、どこを改良させていただいたら良いのかをお伺いしてみました。

すると、「財の功徳で欠けていることはないですか?」と、全く予期していなかったお答えでした。お初穂はきちんとお納めしているし、お寺用には毎月の給料をもらったその日に両替して新札を用意しているし、できる限りのご有志はしているつもりでした。「お金で苦労するということは、財の功徳がきちんと積まれていないのが原因かもしれませんよ。」このお折伏をいただいてから、よくよく考えてみると、昨年まで行っていた興隆基金ご有志の積み立てを今年はすっかり忘れていることに気づきました。実は、今年の初めに法区会計係の方から積み立てを勧められていたのですが、今年は興隆基金だけでなく、新教務後援会へのご有志もさせていただくようになったので、『ちょっと苦しいかなぁ』と思案している間に、いつの間にか月日が流れてしまっていたのです。

このことを彰国師にお話しすると、「それかもしれませんね。出来るだけで構いませんので早速、財の功徳を積ませていただきましょう!」とお折伏いただきました。翌日の試験当日、試験会場へ向かう途中でお寺に電話を入れ、受付の風間さんに今からでも積み立てができるかを相談しました。快く「いつでも構いませんよ」とおっしゃってくださいましたので、これで安心して受験することができました。三回目の受験準備の際にはほとんど勉強する時間も取れなかったのですが、不思議と不安はありませんでした。

試験開始前に「無始已来」を唱えたところ、あれだけ難しいと感じていた試験問題が不思議なことに嘘のように簡単に解けるのです。『これは絶対にご利益に違いない』と確かな手応えを感じつつ、順調に問題を解いていきました。この試験はその場で合否の結果が発表されますので、高鳴る鼓動を押さえながら慎重に判定ボタンをクリックしました。すると画面に「おめでとうございます!」の文字が目の前に浮かび上がりました。喜びと安堵感と照れくささが入り交じったような不思議な感情がこみ上げてきて、思わず小さなガッツポーズを取ってしまいました。

正直なところ、試験に合格したという喜びよりも、お計らいにより現象利益をいただけたことが本当に嬉しかったです。あとから気づいたことですが、当初興隆基金の積み立てを三千円ずつ、新教務後援会の積み立てを三千ずつ、合わせて毎月六千円させていただこうと思っていました。試験に合格できなかった九月までの積立金額を計算してみると六千円×九ケ月の五万四千円。なんと落ちてしまった二回分の試験の料金とほぼ同じ金額だったのです。予定通り毎月きちんと納めて財の功徳を積むことができていたら、余計な出費をせずにすんだことと思います。

この資格を取得したことによる社内での評価はもちろん上がりましたが、それ以上に自分に対する自信にも繋がりました。また、ご信心に対する思いもより一層深くなりました。あとは一日でも早くお教化でご恩に報いることができるよう、日々精進していきたいと思います