就職活動で頂いたご利益
 
                           遠妙寺所属 徳川美咲

 

私は物心ついたときからずっと両親の背中を見ながらご信心させて頂いておりますが、恥ずかしながら「御宝前様が私を見守って下さっている。」と感じたことは、今回が初めてでした。
短大二年生の始め頃、私は就職活動をはじめました。活動をするまで私は「人生は何とかなる、遊ばなきゃ損!」という考えで毎日を送っていました。
そんなちゃらんぽらんな私に突然「就職」という大きな壁が立ちはだかり、
今までの考えではこの壁を乗り越えることは不可能、一体どうすれば良いのかも、
何の仕事をしたいのかも分からず毎日悩む日々が続きました。

とりあえずどこか受けてみよう、と思い学校で推薦を貰った会社と自由応募の会社を受けてみることにしました。二社とも筆記試験、一次面接と順調に選考が進み、後は最終面接を受けるのみとなりました。
「なーんだ、こんな簡単なものだったのか、別に就職成就ご祈願をしなくても何とかなるものだ!」などと過信し、最終面接当日の朝参詣も御宝前におすがりするわけでもなく、そんな気持ちのまま面接に臨みました。

「口が上手い」ということだけが私のとりえだったので、面接では思ったことを言うことができたし、そんな大きな失敗をするわけでもなく、無事に二社とも終えることができ、後は結果を待つのみとなりました。
結果のお知らせは一週間以内に電話で報告ということだったので、ずっと電話とにらめっこをしながら結果を待ちました。しかし、いくら待っても電話がかかってきません。
…そう、二社とも落ちてしまったのです。私は呆然としました。

「あんなに上手くいったのに、どうして落ちてしまったのだろう。」
そんな思いが込みあがり、悔しさのあまりに父の前で大泣きしてしまいました。
そんな私に父は、
「まだ始まったばかりじゃないか、望みはいくらでもあるんだよ。だからもっと真剣に御宝前におすがりしなさい。朝参詣をもっと早く出て就職成就のご祈願をさせていただきなさい。」
と、お折伏を頂き、次の日から朝参詣を三十分早めにお参りし、信心改良とともに就職成就にむけてご祈願させていただきました。すると、落ち込み自信を無くしていた心に自然とやる気が芽生え、一から活動を再開することができました。

しかし私は忘れっぽい性格なので、日に日にご信心が懈怠気味になり、それと同時に良い結果が得られずまたも落ち込む日々が続きました。そんな状態の私に青年会員の方から
「朝参詣、つらいと思うけど、もっと早く出させていただいて見てごらん、絶対ご利益いただけるから。」
とメールを貰い、また心を改めて今度は一時間早めにお参詣し、
「どうかご宝前様私にあった会社が見つかりますように!」
と真剣におすがりさせて頂きました。
六月上旬に入り学校の就職課よりお勧めの会社を紹介してもらう機会が得られ、私は「これが最後のチャンスだ!」と思い、そこの会社を一本に絞り、試験に臨むことになりました。

筆記試験は前日に勉強したところがそのまま出題され、小論文も練習した題名がそのまま出るというご利益を頂き、本当に驚きました。一次面接も何の問題も無く順調に進みあとは最終を受けるのみとなりました。
最終面接の一週間前には班員の原田一成さん佐奈枝さん、片木要君、姉にお助行をして頂きました。面接までの一週間、かつて見せたことが無いというくらい必死でお題目をお唱えしそして面接当日を迎えました。
朝6時半に本堂へ向かい朝参詣をさせて頂きました。それから朝食を取り、ふと食卓を見るとハンカチと手紙が置いてありました。その手紙には、母が私に書いてくれたメッセージでした。
「みさきへ、御宝前様が守ってくださっているので心配なし。
お題目を三回唱えてから面接に挑みなさい。後はお任せし結果を待つこと。母より。」
…このメッセージを胸に面接会場へと足を運びました。

自分の番がくるまでの間刻々と時間が経過するとともに、心臓の鼓動が次第に早くなり始め、「失敗したらどうしよう。」という思いにかられました。
そんな時母のメッセージを思いだし、お題目を3回お唱えし
「御宝前が見守ってくださるから大丈夫!」と自分に言い聞かせていました。そしてついに自分の番がやってきました。面接室に入ると面接官が五人もいて、なんとも言えない圧迫感があり緊張のあまり頭の中が真っ白になりました。質問に対しても的確な返答ができず、悔いの残る面接となりました。

落ち込みながら帰宅すると玄関に両親がいました。両親の顔を見たとたん、申し訳なさで胸がいっぱいになり、涙が止まりませんでした。
「お父さん、お母さん、ごめんね。あんなにお助行してくれたのに期待に答える事ができなかったよ。」
すると母は、
「なーにいってんのよ、私ね、ちょうどあなたが受ける会社のほうに用事があったから、会社に向かって手を合わせて、『どうかみゆきが受かりますように』とお題目をお唱えさせて頂いたから大丈夫よ、安心しなさい。」
といってくれました。不安でしたがその言葉に励まされ
「そうだよね、失敗しちゃったけど私には御宝前がついているんだ!」
こうして結果を待つことにしました。
その日は午後から学校があったので、急いで学校へ向かいました。授業を終えて友人と食事をしている途中、携帯電話に母から電話がかかってきました。
「みさき、面接合格の電話がかかってきたわよ。おめでとう!」
驚きと嬉しさのあまり、隣にいた友人に抱きつき号泣してしまいました。
「ご宝前様、本当にありがとうございました。こんな最高のプレゼントは何にも変えがたいご利益です。」
私は心から御宝前に感謝しました。その日の夜、家族とともにお礼のお看経をさせて頂きました。

私の就職活動を振り返ってみると、決して平坦なものではなく、とてもつらい経験でしたが、このつらい道を乗り越えたことで、就職成就できたことだけではなく、本当に大切なことを学び、感じることもできました。
もしあの時、一社目で受かっていたとしたら、慢心して、ご信心を改良することができていなかっただろうし、同時にありがたさを肌で感じることもできなかったと思います。
ですからあの時落ちてしまったことは、今後の私の人生を幸せにしてくれる大きなご利益だったのだと、今改めて感じています。
こうして無事に就職が決まり御信心を改良することができたのは、御宝前を始め両親や青年会の方々が、御信心通して私の背中を押して、応援してくれたからだと思います。
ですから私はこの感謝の気持ちを忘れずに、これからもずっと御信心をさせて頂きたいと思います。
そして今回の私のように困ったり、悩んだりしている人たちに、このご信心のありがたさを知ってもらいと思います。自分だけの幸せだけではなく一人でも多くの人が幸せになれるようなそんな気持ちで御信心をさせて頂きたいと思います